こどもの本

私の新刊
『見習い幻獣学者ナサニエル・フラッドの冒険(全4巻)』 千葉茂樹

(月刊「こどもの本」2013年9月号より)
千葉茂樹さん

夢中になって訳しました

 子どものころから冒険物語が大好きでした。『十五少年漂流記』『ロビンソン・クルーソー』『宝島』『トム・ソーヤーの冒険』といったタイトルを思い出すだけで、わくわくしてきます。コンティキ号の航海記やスコットとアムンゼンの南極点を目指す競争を描いたノンフィクションなどにも胸を躍らせました。

 基地づくりや木登り、いかだを作って川にこぎだしたり、自転車でどこまでも走ってみたり、とプチ冒険の思い出もたくさんあります。

 それなのに、これまで自分の手で冒険物を訳す機会はあまりありませんでした。そこで出会ったのが「見習い幻獣学者ナサニエル・フラッドの冒険」シリーズです。

 得意なのは絵を描くことぐらいで、友だちもいない、なんのとりえもないと思っていたナサニエルが、あれよあれよというまにとんでもない冒険に巻き込まれていく、いわば「巻き込まれ型冒険物」の典型のような作品です。しかもその冒険とは、フェニックスや、ドラゴン、ユニコーンなど世界の各地にひっそりと生きている、伝説や神話上の存在と思われていた生き物を守るための冒険なのですからたまりません。

 つぎからつぎへとおそいかかる困難を、いままで存在も知らなかった幻獣学者のおばさんや、害獣あつかいされてきたグレムリンの女の子とともに必死で乗り越えながら、少しずつ冒険家としての技術や度胸を身につけていくナサニエル。がんばれ!と応援しつつ、夢中になって訳している自分がいました。ああ、やっぱり自分は、冒険物が好きなんだなあとしみじみ思ったものです。

 これからも、楽しくてわくわくする作品に出会ってみなさんに紹介できたらうれしいなあ。

 このナサニエルのシリーズをきっかけに、冒険物、ひいては読書が大好きになってくれる子どもたちがたくさん生まれるなら、訳者としてこれ以上のよろこびはありません。そのなかから、未来の冒険家が誕生したりして?

(ちば・しげき)●既訳書にJ・ランフォード『グーテンベルクのふしぎな機械』、D・アストン『いしのはなし』など。

「見習い幻獣学者ナサニエル・フラッドの冒険(全4巻)」
あすなろ書房
『見習い幻獣学者ナサニエル・フラッドの冒険(全4巻)』
R・L・ラフィーバース・著
ケリー・マーフィー・絵
千葉茂樹・訳
本体各1,000円