こどもの本

私の新刊
『プリンセススクール』 田中薫子

(月刊「こどもの本」2011年10月号より)
田中薫子さん

あこがれのお姫さま

 ニューヨークに住んでいた幼いころ、私の愛読書は『シンデレラ』でした。何冊か持っている中でも気に入っていたのは、近くのスーパーで売っていた小さな本。やわらかな色調で描かれたシンデレラがとてもきれいで、何度も描き写してみたことを覚えています。

 おとぎ話はそのころから、ずいぶんたくさん読みました。初めて読んだ文庫本は『グリム童話集』(その次は『アンデルセン童話集』)でしたし、大学では、世界の神話や民話の全集を、図書館で借りまくりました。

 さまざまなおとぎ話のお姫さまがいる中で、シンデレラが特に好きだったわけは、本の絵の美しさにひかれただけではありません。シンデレラには、王子さまを好きになる時間がちゃんとあるのがいいな、と子どもながらに思っていたからなのです。なにしろ白雪姫なんて、息を吹き返してすぐ、初めて会った王子さまと結婚することになりますし、ねむり姫も同じです。ラプンツェルだって、塔の上にひっぱりあげてみたら、見知らぬ王子さまだったのですから…。お姫さまの気持ちはそっちのけ、という感じで、私はなんだか好きになれませんでした。

 でもうれしいことに、このごろは、自分の考えをきちんと持った活発なお姫さまが多くなってきたように思います。現実のプリンセスも、映画や本に新たにとりあげられる、おとぎ話のお姫さまもです。

「プリンセススクール」のシリーズに登場する、生まれつきのプリンセスや、将来プリンセスになりたい女の子もみんな、とても生き生きとしています。

 十歳のシンデレラ、白雪姫、ねむり姫、ラプンツェルの四人が、プリンセス修行のための学校で出会い、友だちになり…四人とも、ふつうの女の子らしい悩みも持っていて、それぞれに個性的。学校では、カエルと王子さまの見わけかたを習ったり、舞踏会や運動会があったりします。おとぎ話のエピソードも、盛りだくさん。小栗麗加さんのキュートな挿絵も堪能できます。
 お姫さま好きには、たまりません!

(たなか・かおるこ)●既訳書にニモ「チャーリー・ボーンの冒険」シリーズ、ジョーンズ『花の魔法、白のドラゴン』など。

「プリンセススクール」
徳間書店
「プリンセススクール」(全4巻)
ジェーン・B・メーソン&セアラ・ハインズ・スティーブンス・作
田中薫子・訳 小栗麗加・絵
本体各800円