こどもの本

私がつくった本46
あかね書房 伊藤史子

(月刊「こどもの本」2013年7月号より)
トリックアートアドベンチャー(既刊2巻)

『トリックアートアドベンチャー(既刊2巻)』
北岡明佳/監修、グループ・コロンブス/構成・文
2012年11月〜

 トリックアートを見たことがありますか? テレビでは、トリックアートを見ることは脳に良い効果がある、と言っていることもあります。いったいどんなものかと言うと……。

 例えば、写真の『トリックアートたからさがし』の表紙をごらんください。なんか、中南米にある遺跡のような建物がジャングルの中にたっているのが見えますね。でも、よく見るとこの建物が実は違うものにも見えるのです。

 答えは……、本を実際に見ていただくとして、このようにあるものが別のものに見えるようにしたり、別のものが浮かび上がるように描いたり、動くはずのない絵が動くように描いたり……、だまし方はかぞえきれないくらいあります。

 このだまし絵を絵本として作ったのが「トリックアートアドベンチャー」シリーズです。『トリックアートおばけやしき』、『トリックアートたからさがし』を刊行し、7月に新刊『トリックアートゆうえんち』を出します。

 このシリーズの前身として、「トリックアート図鑑」(既刊4巻)があり、その第3巻『作ってふしぎ!?トリックアート工作』から担当になりました。
その後『トリックアート図鑑ペーパークラフト』という抜き型式の工作作品集を作っているときに、これまでの「トリックアート図鑑」シリーズは大人から子どもまで楽しめるように作っているとはいえ、トリックアートの理論解説もあり、少し難しいと感じる子もいるかもしれないと思うようになりました。社内から入門編に位置づけできる本がほしいというリクエストもきました。そこで生まれたのが「トリックアートアドベンチャー」シリーズです。

 小学校低学年から、見ているだけでも楽しめる絵本にしようと、構成・文のグループ・コロンブスさんとアイデアを出し合いました。判型を大きくしたのでいろんな仕掛けを入れたくなってしまうのですが、入門編という位置づけを逸脱しないよう心がけました。でも、探し絵などのちょっとした遊びはたくさん入れて、難しくはないけど楽しみ方はいっぱい、何度読んでも楽しめるようにしました。

 多分小学生向け雑誌に載っていたものだったと思うのですが……、小学生の頃、2本の平行線を使った「ミュラー・リヤー錯視」などいくつかの錯視を見ながら、放課後の教室で数人で集まり「こっちが長い?」「同じだよ」「うそ!」「信じられない!」などとワイワイ盛り上がった記憶があります。当時はトリックアートやだまし絵、錯視の名前は知りませんでしたが、これがトリックアートの原体験です。このシリーズは、子どものころのワクワクした気持ちを忘れずに、そして手に取った皆さんにも感じていただけるようにと願いながら作っています。