こどもの本

私の新刊
『夏のカルテット』 眞島めいり

(月刊「こどもの本」2021年11月号より)
眞島めいりさん

不確かだけど、つながっている

 誰かと出会ったとき、相手とどれくらい深く付き合うことになるか、正確に予想するのはまず不可能ですよね。のちのち振り返ってみて初めて「仲よくなったきっかけはあれか」と気がつき、びっくりする場合も多そうです。

 この本に登場するのは四人の中学一年生。それぞれが不本意な理由から図書委員になり、夏休み中の当番で顔を合わせます。だけど図書室を利用する生徒なんてちっとも来ない……。

 ある日当番のひとりが家からギターを持ってきて、即席の弾き語りライブがスタート。ほかの子たちもコーラスに加わり、思いがけず盛り上がった結果「みんなで曲をつくって、夏休みのグループ研究として提出しよう!」という話に。「いや俺は歌も楽器もできないから」と断ろうとした語り手のですが、それならばと作詞を任されてしまいます。こうしてことばを使って音楽に、そして同級生という他者に近づいていく夏が始まります。

 編集者さんとのわくわくするメールのやりとりから物語が動きだし、印象的なイラストとデザインに彩られた一冊に仕上げていただきました。タイトル通りの季節にお届けできたことも嬉しかったです。

 ところで、この小説を書いていた昨年から今年にかけて、コロナ禍のため私自身が友人たちと顔を合わせる機会はほぼありませんでした。でも、ときどき声は聴けました。アプリを利用したグループ通話です。

 メンバーには二十年来の付き合いになるひともいれば、面識のない「友達の友達」もいます。数えきれない偶然が積み重なって、このひととき、こういう形でつながっている。あらためて縁はふしぎです。

 今日もどこかで誰かと誰かが出会っていて、しかしお互いに、これっきりで終わりになるか、あるいはこの先ずっと関係が続いていくのかを知らない。そんなどうしようもない不確かさ、どうしようもないけど確かに感じているものを、これからもことばを使って描きたいと思っています。

(ましま・めいり)●既刊に『みつきの雪』。

『夏のカルテット』
PHP研究所
『夏のカルテット』
眞島めいり・著
定価1,320円(税込)