こどもの本

私の新刊
『世界幻妖草子』 岡田好惠

(月刊「こどもの本」2018年8月号より)
岡田好惠さん

世界のモンスターを旅する豪華な絵草子

 ドラキュラ、ネッシー、雪女、フランケンシュタインを筆頭に、世界中の妖怪の物語十五話が綴られる本書、原題"CREATURES"(フランス語で"妖怪たち"の意味)を『世界幻妖草子』という、なんとも素敵な邦題にしてくださったのは日本語版・版元の皆さんです。

 各章末には、物語にまつわる地理、歴史などの豆知識欄〈ふしぎ通信〉があり、読書を更に楽しくしてくれます。

 全十五話を訳し終えたときには、なんだか、時空を超えて世界一周旅行をしたような、豊かな気分になりました。

 作者のミュリエル・チュルヒャーさんは機能訓練士とリハビリ施設の管理職を経て作家になりました。患者を支え、調べ物をする生活の中から、様々な物語のアイデアを得たとのことです。

 本書の雪女は有名な小泉八雲作を底本にしながら、非常にすっきりと、しかも臨場感溢れる昔物語にしています。作者の読解力の正確さとセンスに、感服しながら訳しました。

 日本語版でぜひお伝えしたいのは、何より、イラストの素晴らしさです。

 橋賢亀さんの華やかで奥深く、考え抜かれたイラストは何度見ても飽きず何度見ても新しい発見があります。

 これぞまさしく・絵草子・。内海由さんの装丁とデザインで絵草子はさらに引き立ちました。本の大きさはA4判ですが、初めて見たとき、わたしにはもっとずっと大きく立派に見えたものです。これは原画はもちろん、内海さんの装丁のお力だと思いました。

 最後に価格は、これだけの豪華本なので、さぞお値段も張るだろうと覚悟していたところ、本体価格が、なんと三千円以下。一人でも多くの読者のお手に届けたいと願う版元さんの心意気を感じ、これなら、わたしにも、機会あるごとに、気楽にプレゼントできると喜んでいます。

 関係者全員の気持ちが一つになった『世界幻妖草子』。

 翻訳担当もがんばりました。

 よろしくお引き立てください!

(おかだ・よしえ)●訳書にドルバル『わたしのおとうと、へん…かなあ』(評論社)、著書に『ピカソ』(講談社青い鳥文庫)など。

『世界幻妖草子』"
評論社
『世界幻妖草子』
ミュリエル・チュルヒャー・文
橋 賢亀・絵
岡田好惠・訳
本体2、800円