こどもの本

我が社の売れ筋 ヒットのひみつ1
「おばけずかん」シリーズ 講談社

(月刊「こどもの本」2018年1月号より)
「おばけずかん」シリーズ
「おばけずかん」シリーズ 講談社
斉藤洋作 宮本えつよし絵
2013年6月~刊行
こわいけど、おもしろい! 「おばけずかん」シリーズ

 この「こどもの本」を定期購読されているような方には、『童話作家になる方法』(斉藤洋、講談社)という本がオススメだ。名作『ルドルフとイッパイアッテナ』が生まれたいきさつから、「児童文学の経済的事情」なんていう舞台裏まで、包み隠さず、面白おかしく書かれているのがいい。
 その本によれば、「おばけずかん」シリーズは、著者と私が鰻重を食べに行ったときの会話がきっかけで生まれたことになっている。
 その後、このシリーズは超ハイペースで刊行されることになり、現在5年目ですでに18巻、累計30万部を超え、未就学児から低学年の子どもたちがよく知っているシリーズとして定着した。「経済的見地」から言えば、打ち合わせで鰻重を食べるという投資をしたことがよかったのだろうか……。
 もちろん、それだけではなかろう。このシリーズがヒットした他の理由を考えてみた。
 
(1) こわいけど、だいじょうぶ! 
〈からかさおばけ〉は、実はパンツをはいていないので、「雨がふってきた。傘をひらいて!」と言うと、恥ずかしがって逃げていく。……など、それぞれのおばけに、「こうすればだいじょうぶ」というのが必ず書いてある。童話でありながら、「おばけ対策マニュアル」になっている安心感が人気を呼んだ。子どもは、怖い話が大好きだけど、すごく怖がりでもあるのだ。

(2) オリジナルおばけがいっぱい
 最初のほうの巻では、実在のおばけ(?)を取り上げていたが、途中から斉藤洋考案によるユーモラスなおばけが主流になった。ある意味、キャラクター満載で、ポケモンのような面白さがあるのかも。

(3) 「違和感」のあるイラスト
 宮本えつよし先生の明るい絵が、これまでの怪談の本とはちがう印象を与えている。『童話作家に~』に書いてあるが、実は私が提案した3人の画家の中で、イメージといちばん遠い絵を、斉藤先生は選んだらしい。曰く、「違和感こそ、おばけの本質!」とのことだ。

 昨年の夏には、人気の知育ブロック「LaQ(ラキュー)」とのコラボで、本に出てくるおばけが作れる「オリジナルLaQセット」を刊行し、同時に、LaQで作るオリジナルおばけコンテストも開催した。今度は、その受賞作を本の中に登場させた『みんなのおばけずかん』も3月に刊行予定である。
 ヒットすると、どんどん思わぬ展開が待っているのが面白い。

(講談社 塩見 亮)